難治性の皮膚病尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)や老人性皮膚掻痒症、ニキビ(尋常性ざ瘡)の治療と漢方薬の有効性を実例をあげて説明しています

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様々な病気と漢方

皮膚病と漢方その1


さわやかな秋も過ぎ、はや冬の気配が感じられます。空気が乾燥してきますと悪化してくる病気の一つに、次のような皮膚病があります。

老人性皮膚掻痒症(老人性皮膚そうようしょう)

老化現象の一つとして、皮膚の栄養や新陳代謝が低下してきて起こる病気です。皮膚は乾燥状態で、隣屑があり、白い粉が落ちるようなことがある。かゆみがかなりある。はっきりとした皮疹(皮膚のブツブツ)は少ない。赤みも少なく、あってもわずかの場合が多いようです。軽い場合は冬場だけかゆくなったり、お風呂やこたつで暖まった時にかゆくなったりします。皮膚表面が乾燥して、粉がふいたような状態でかゆみがあるのが特徴です。名前のとおり、ある程度お年寄りの方に多い皮膚病ですが、新陳代謝の低下する甲状腺機能低下症の人や、病後や無理なダイエットによって栄養状態が悪くなった場合にもよく似た皮膚病があらわれることがあります。(この場合は老人性皮膚掻痒症という病名は不適切とは恩いますが…)

漢方的には、血虚・血虚生風・陰虚などを考え、温清飲・当帰飲子・六味丸・その他滋陰清熱薬・駆お血剤などを使用してよい結果が出ています。

乾癬(かんせん)・尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)

この皮膚病は別に季節に関係ないと思いますが、頑固で治療の難しい皮膚病であります。

(2006年2月25日追加:尋常性乾癬の中には、夏場軽快しほとんど分からなくなる人がいます。また特に海水浴などをすると非常に効果的な方も多いです。秋から悪化しだし冬場が最も悪い状態の人もいます。)

漢方を使用して、良い結果が出ておりますのでお知らせしておきます。頭・ひじやひざ・尻部などに多く見られますが、全身どこにもできます。円形の紅斑
(赤い熱をもった斑)ができ、やがて銀白色のフケ状のかさぶたみたいな皮でおおわれます。しだいに大きくなりますが、正常な皮膚との境界ははっきりしていいます。経過は慢性的で、一進一退を繰り返す状況にあるようです。乾癬で悩む何人かの相談を受けましたが、割合効果が良く喜ばれています。処方の選定や指導でなかなか根気よくやっていかなくてはなりませんが…。

最近、和歌山の南紀の方が紹介で来られ、尋常性乾癬でした。

それがとてもひどい状態で、顔と手首から先、足首から先以外は全身紅斑でおおわれ、西洋医学はもとより漢方薬をふくめ様々な健康法を実行したが良くならなかったが、もう一度ちゃんと漢方をやりますということで来店されました。何度か処方(内服薬と外用薬)を変更をいたしましたが、結果は私も思いがけないほどに早くよくなり、今では皮膚病になるまえより皮膚がきれいだと喜ばれています。まずはめでたし、めでたしということになりました。

1994年

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にきびと漢方

にきび(正式には尋常性ざ瘡・面皰)は青春のシンボルともいえるもので、男性の方などは中高生の時に、多くの人が悩んだのではないでしょうか?
私も、中高生の時にはかなりのあばたと噴火口を顔面に作っていました。

もちろん男性にかかわらず、青少年男女の顔面、前胸部、背部にできることが多いものです。毛孔のところに赤みをもった丘疹ができて、場合によっては細菌が感染して化膿することもあります。化膿がひどい、またつぶしていたりすると、瘢痕や色素沈着を残しますので、あまりさわらずに早いめに治療したほうが良いと思われます。
原因は色々あって、性ホルモンの急激な増加や代謝異常などによって、毛孔に角質や脂肪がつまることによって生じると考えられています。

その他に
胃腸障害、特に便秘

睡眠不足

皮膚の不衛生(入浴や洗顔が不十分)

女性では生理不順・生理痛など女性の機能的な異常(生理前後ににきびがひどくなる)

そして食物の不摂生(動物性脂肪・砂糖のとりすぎ、野菜不足等々)

これらがにきびの原因となることが多いので、予防として留意することが必要です。
漢方では、以上の事もふまえ、患者さんそのものの全身状態や患部の状態を考え併せて、漢方薬を選んでいきます。またお血やのぼせ、肝障害なども追求して処方を選ぶ参考とします。
一般には、顔面や頭部に赤みを帯び、熱感のあるものが多いのですが、女性の中には、貧血や冷え性があり、にきびも赤みをあまり帯ない色の悪いもの(元気のないにきび)があります。私の経験では、赤みの強い熱感のあるタイプの方が、効果が早く感じられる場合が多いと思います。この場合は清熱解毒の剤を中心にもっていきます。

この方法はにきび以外にも例えば、一般の皮膚病、アトピー性皮膚炎、薬物や食品によるアレルギーなどで発赤・熱感のある皮膚病に応用されます。
元気のないにきびのタイプはもともと悪いものを発散させる力の弱い体質の人ですから、身体を温め血行を良くしたり、生理不順などがあればそれを良くしたりして、体質からの改善が必要となります。
ご相談はお気軽にお越し下さい。

1996年9月分        

追加: 

最近の新聞記事の中で見たことですが、にきびや皮膚病に対して砂糖やチョコレート、豆を原料としている食品は、今まで皮膚病悪化に関係があると言われていたが、問題がないというようなコメントがありました。

本当でしょうか?
私は、昼ごはんが食べられない時、豆菓子、ピーナッツ、アーモンド等を食べる事があります。てきめんに顔にブツブツと化膿気味のデキモノが出来てしまいます。
悪いことは言いません。
にきび、アトピーなどの皮膚病(共に炎症性のもの)の方は、上に書いたような「砂糖たっぷり、脂肪分の多いもの(油で揚げたお菓子など)、豆類(高栄養、高脂肪、消化の悪いもの)、もち米類(赤飯、おかき)はなるべく避けておきましょう。


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皮膚病治療の実例@

皮膚病の治療の実例を書き下ろします。
正直、実例はかなりの数がありますので、最近の思い出せる少し変わった物や、いい話だけでなくうまくいかなかった例も書いておきます。皮膚病を漢方で治療しようとされる方は、私の所では、どうしても治らない方ですので、短くて、数ヶ月、長い人は数年〜何十年という慢性の皮膚病のつわものが相手です。

(治療失敗例は、あくまでもお作りした漢方薬や健康食品などをしっかりある程度の期間、摂取したにもかかわらず好転しなかった事例を言います。一回お薬をだして、そのまま服用を止めていらっしゃる方などは例の中に入れることはできません。)

もちろん全員が治療できるものでもないくらい分かっていらっしゃるとは思いますが、インターネットはある種バーチャル世界ですので、嘘を付いていても分からないと、嘘八百書き並べても許されるわけはありません。
失敗例は、後々の自分の勉強の結果、ある種の『気づき』の材料として大変な価値ある例となってくるものです。ですから、ここでは正直に失敗例も書いておきます。
また、お薬の内容(名前)は、一部を除き、あえて書きませんので御了承下さい。

その@

女性Aさん(年齢等、本人特定に関する情報は今回は削除します)

最初に薬局に入って来られて、顔面を見たとたんに『アッ』と本心は思いました。全身性エリテマトーデスという膠原病の一種によく現れる顔面の紅斑があったのです。鼻を挟んで境界線のはっきりとした紅斑です。顔以外に手に左右対称に現れていました。
もちろんそのような診断は病院ではされていませんでした。

病院での治療は、ステロイド外用、内服、抗生物質?(内容がはっきりしない)。この皮膚病歴は比較的短いほうで、発病後約半年でした。

私のところに来る前に、大阪では有名な漢方薬局でお薬を合わせていただいていました。民間薬として、どくだみ(ジュウヤク)とはと麦もお茶として飲んでおられました。
ここの薬局では、ちょっと困った話をされていました。
血流測定の機械があったのだそうです。その結果、右だったか、左だったかの脳に血が流れていませんと言われて、患者様はそう信じていた様子です。

流れていなかったら、生きていませんよっと言って笑わせて、終わりにしましたが、そんな事を言う前にやるべきことがあるでしょうに、不安だけをつのらせる話をしていました。
そこでは漢方薬(エキス剤)とサプリメントの2種類を続けていましたが、うまくいきませんでした。

当方では、煎じ薬単独で開始。10日分を出したところ、以外にも顔の赤みがほとんど取れました。腕のところの2箇所の発疹は変化なし。このままいけるかと思いきや、次の10日でまた悪化してきました。処方を変えて(夏休みなどの休暇中は良好で、会社に行きだすと悪化しているので精神的ストレスが原因として大きいと考えた)、10日分。漢方の外用薬として「中黄膏」を併用でお出ししました。
漢方薬の反応と話を聞いていて、陰虚、血虚の虚熱がはっきりとしてきました。
処方変更3度目。この処方を50日続けて、廃薬に至りました。(後半の30日はほとんど、皮膚状態は良好でした。)

その後、お会いすることがありましたが、全く正常になっておられます。
実例Aはその方の紹介で来られた親戚のお方です。

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皮膚病治療の実例A

実例のAは、@の方のご紹介で御相談に来られた、年配の男性です。

この方は全身の皮膚のかゆみです。2年以上続いています。
実際に皮膚の状態を見せていただきましたが、「発赤」や湿疹にみられるポチポチやじくじくした部分もない。
皮膚状態は年齢的に相応な乾燥した状態を見せています。2年間冬・夏、季節に関係なくかゆみが続いているといわれます。

聞き出してみますと、2年前より高血圧がはっきりとしてきて降圧剤を服用しておられました。その副作用に「皮膚のかゆみ」の項目もありましたので、
「漢方薬をお出ししますが、ある程度やって3ヶ月くらいをめどにして、なんら変化が現れなかったら(3ヶ月で治すわけではなく、効果の判定期間として)、血圧でかかっていらっしゃるお医者さんと話して、血圧のお薬の副作用も考えてもらうよう」に指示いたしました。

結果は、最初の処方14日分で、はじめのかゆみを100%とすると、60%かゆみが残っているとの事。引き続き同じ処方で14日分。これでかゆみが全部消えた。
用心の為、さらに14日分をお持ち帰りになりましたが、そのまま治癒いたしました。

トントン拍子とはこのことですね。

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皮膚病治療の実例B

実例のBは、50代の男性。
冬2月からの開始です。

おもな訴えは、3〜4年前からの痒みが強い皮膚病。
それがどういうものかと、書いてみます。
首から上を除き、足先までの身体全身の湿疹です。幸いなことに顔には出ていませんので、長袖、ズボンの状態なら他の人には気づかれにくいと思いました。

湿疹の状態は、大小さまざまな大きさの発赤とかきむしった為に生じた分泌物と、それが乾燥したかさぶたで覆われています。
病院での治療は、外用薬のみで、副腎皮質ホルモン剤の塗り薬と、真菌用のクリームが出ており、皮膚のどこそこにこのクリームを塗りなさいとこと細かく指示がありました。実際、皮膚状態がかなり悪くなっていた為にカビ(真菌)も生えていたのです。

外見の漢方的な状態は、舌の色は紫色に近く、また舌の縁にお血を示す斑点があります。もちろん治療はお血も考慮しましたが、それだけでは無理と判断しました。

身体は冷えを感じることなく、冷飲食を好みます。口渇も++程度あります。

処方を3つ合わした煎じ薬にいたしました。煎じ薬は初めてということで、最初は飲んでもらえないと困るので7日分。
1週間服用後の状態では、分泌物が増えている感じがするが、下半身は少しマシなような気がするという言葉で、同じ処方を次回14日分。
と同時に痒みに対して、副作用の少ない抗ヒスタミン軟膏とおすすめの自然医薬品でおなじみの「ササヘルス」を併用してもらいました。

14日後の来店時には、上半身、下半身共に痒み、外見上の皮膚症状がかなり良くなって来ていました。
同処方14日。

肩の部分の所だけ、湿疹が残っている状態。
同処方14日。

少しブツブツしたものが出て、痒みも強い。それ以外は良好。
同じ処方14日。

結果、2月から開始して、4月一杯で終了。
ただ、12月に手の甲に同じようなものが出たが、これはすぐに治癒しました。


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皮膚病治療の実例(失敗例)

本来ならあまり書くことのない失敗例です。相談表を繰っていたら、見つけました。残念ながら失敗例が・・・同年にありました。

50代の女性

病歴は20年のつわもの(もちろん、その間内科、皮膚科を受診していた)

両足の膝から下、足首までの間に湿疹ができていましる。これを実際に湿疹と言っていいのか分からないのです。長年何度もかきむしり、その上にかさぶたが出来て、ちゃんとした皮膚が出来ていません。部分的に潰瘍の様相を現しています。膝下から足首までの間の約1/3の範囲。直径10cm位のだ円形皮膚炎。

舌の状態はかなりの暗紫色、舌の裏側の血管は強く怒張し、お血の影響ははっきりしています。

先の男性とは全く違った処方を3種類合わせた煎じ薬で開始。この女性には最後まで一貫して、駆お血剤(生理的に正常でない血液、血行不良を改善する薬)をはずすことなく使用しました。
併用は漢方の軟膏、中黄膏使用しました。14日分づつ、3回とも処方を変えながら様子を見ていきました。2ヶ月たった頃には右は少し皮膚炎が残り、左は皮膚が張りつつあるが、正常な皮膚にはほど遠い状態。この時には3週間分を買っていただいて、様子を見た。
その後、この患者さんは来られなくなりました。果たしてどこまで改善していたのか?毎回、すこし良くなっては、かきむしり、元の木阿弥の状態に何回かなりました。

3ヵ月後、再来店。
また最初と同じような状態になり来られました。2週間処方をお出ししたまま、来られなくなりました。
おそらくだめだったのだと思います。



◎失敗例のの所に治癒例を書くのもおかしいのですが、同じような皮膚病の例があります。

60代の男性

10年以上前にも一度だけ漢方薬を相談、購入の経歴がある。そのときと同じ皮膚病でやはり10年以上苦しんでいたことになる。
出来ている場所は上記の失敗例の女性と同じような下肢の5cm位のだ円形の皮膚炎。10年前の相談表には下肢潰瘍と私は記入していました。その時は1週間分のみ服用してあきらめていたようです。
10年ぶりにもう一度、なんとかしようと思ってこられたようです。
この人の場合、エキス剤(顆粒剤)で一種類のみの、駆お血剤で通しました。(ちなみに10年前は、正常肉を盛り上がらせて治療する托裏法と化膿を抑える薬の併用)
下痢も起こしたりして、御迷惑もお掛けしましたが、数ヶ月で治ってしまいました。
やはり、お血が原因の皮膚病は、とにかく狂ったように痒く、かきむしり、潰瘍状になり、なかなか正常な皮膚に生え変わり(?)ません。

生物の細胞は、やはり正常な血液が十分に回って栄養を与えなければ育たないのですね。
同じような皮膚病でしたが、結果は対照的なものになってしまいました。

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