ここではC型肝炎、B型肝炎、慢性肝炎、脂肪肝、アルコール性肝炎、肝硬変等の肝臓病、こむら返りに対して漢方薬が
有効なのを説明しています。

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様々な病気と漢方


肝臓病と漢方

 肝臓病のご相談でみえられる方が比較的多いので、今回は肝臓のお話です。
肝臓の炎症による病気を肝炎と言います。肝炎は色々な原因で起こりますが、アルコール性肝炎、ウイルス性肝炎の事をさして言う場合が多いようです。
今までによく知られているのは、A型、B型、C型のウイルスによる肝炎です。さてそういったウイルスなどが原因で起こる肝炎の種類は簡単な分類をすると次のようになります。

@急性肝炎 A慢性肝炎 B肝硬変
それ以外の原因で起こるものに
C脂肪肝 D薬物性肝炎
などをあげることができます。

一部の肝臓病の特徴を書いてみますと

◎急性肝炎

 この原因としてもっとも重視されているのは、ウイルスでその他薬物やアルコールによる場合もあります。
症状としては発熱、全身のだるさ、食欲がない、胸がむかつくなどの症状があり、黄疸がでる場合もあります。黄疸がないと"かぜ"と間違いそうです。
A型肝炎などは、食品などで経口感染し、海外旅行特に発展途上国などに旅行した時には要注意です。

◎慢性肝炎

 この原因もやはりウイルスが重視されます。そのうちB型C型が問題になります。薬物 性肝炎をおこし、慢性に移行することもありまます。ウイルス性肝炎にアルコールが加わると慢性肝炎になりやすいといわれています。
 症状としては、ふつう自覚症状は軽いようですが、よく注意していると、全身がだるい、疲れやすいといった症状の他に、お酒に弱くなった、おなかがはる感じがある、右の季肋部(上腹部)の圧迫感や鈍い痛みなどを訴えます。

◎脂肪肝

 原因は色々ありますが、アルコールと肥満、糖尿病などの病気と伴って起こる場合がある。多くの肝細胞中に脂肪がたまった状態をいいます。症状は慢性肝炎よりさらに漠然としたものです。
肝硬変などの怖い肝臓病もありますが、慢性の肝臓病で軽い場合次の症状が比較的見られます。
全身倦怠感お酒が飲めなくなった食欲がなくなった時々吐き気がする右の季肋部(上腹部)が重苦しくなんとなくおなかがはる等々

このような症状は必ずしも肝臓病特有のものではないですが、こんな症状が多いというのは事実です。
また、くも状血管(顔面、胸部などの上半身に見られる小さなくも状の血管拡張)や手掌紅斑(手のひらの中央部を除いたところが赤くなる)、男性なのに乳房がふくらんでくるなどの症状は肝硬変によく現れる症状です。

東洋医学の見方では、古典医学書である「内経」に、肝の影響は筋肉、爪、目(視力)、精神活動等に現れるとあります。肝炎だけでなく、肝の異常は色々あります。

いずれにせよ上のような事で"おかしいな"と感じられましたら、医師の診断、検査を受けられることをお勧めします。
また漢方的な考え方とお薬をご希望される場合は、よく研究されている漢方専門の薬局にご相談下さい。当薬局においても相談を受けています。お気軽にどうぞ

1996年分

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脂肪肝と漢方

最近、脂肪肝のご相談が何件か続きましたので書いてみる事にします。テレビでも時々この病名を耳にする機会が増えてきたように思います。

『脂肪肝』とはどういう病気かというと、簡単に言えば、肝臓に中性脂肪がたまった状態です。肝臓の肥満症ですね。もともと肝臓には3〜5%ほどの脂肪がありますが、それ以上になると現代医学では『脂肪肝』という事になります。

一般に言う肥満は皮下や内臓(体脂肪)にたまった状態をいいます。当然、脂肪肝も肝臓に脂肪がたまっているわけですから、その原因の一つとしては肥満も上げられます。
主たる原因は、肥満、糖尿病、多量の飲酒です。

中性脂肪の合成は肝臓で行われるのですが、その原料は脂肪酸というもので、糖質(米、パンなどのデンプン質、砂糖類)やアルコールも脂肪酸の原料ですから、脂っこいものさえ食べなかったら脂肪肝にはならないという考えは通用しません。
現実に甘いもの好き、米、パンを食べて肥満になっている人は、太ったおなかの肉をつまんで『糖分が貯まったわ!お金ならよかったのにね』とは言わんでしょう。それは脂肪です。

 それで漢方薬を利用して脂肪肝を治療していく場合にも、食事の摂生、適度な運動を指導いたしております。運動はウォーキングなどの毎日あるいは隔日にでも出来る簡単なもので脂肪を燃焼させるのがいいでしょう。ひざが悪くなければ、やや早足で30分から1時間くらい歩けばいいと思います。激しい運動は短時間しか続けられませんので、脂肪の燃焼には向きません。
それと、とくに注意したいのは糖尿病などの内分泌系の病気があれば必ず治療を併用しておかなければなりません。運動療法は同じなのでちょうどいいのです。

アルコールが原因の脂肪肝は禁酒が原則です。禁酒さえ出来ればまず数ヶ月でよくなります。(それが出来たら、苦労せんわ!という声が聞こえますが…)そうそれが出来たら苦労しないのです。習慣になっていたり、接待など人とのお付き合いでどうしても・・・止められない。というのが実情です。
その辺は漢方とお付き合いしながら、よりスムースに治療できたらと思います。
漢方では特に脂肪肝にとらわれず、肥満の解消、アルコールの影響を最小限に、糖尿病、肝臓病の改善を考えて処方を決定していけば良いわけです。
ご相談はお気軽にどうぞ

2002年5月

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肝硬変と漢方
 
 前回は脂肪肝の事について書かせていただきました。今回は肝硬変についての話です。肝硬変は慢性肝炎(B型、C型肝炎のようなウイルス性肝炎が多い)からの移行がもっとも多いでしょう。アルコールが原因の脂肪肝もアルコールをやめないで放置しておきますと、肝硬変になりやすいので要注意です。

漢方薬局にご相談に来られるのは、肝硬変でも(言葉がきつくて申し訳ないのですが)末期に近い人が多いように思います。大概が病院にかかっていたけれど、病状が進んでしまいどうしようもない状態が多いようですね。
薬局に入られて、すぐに意識障害(肝性昏睡)を起こし、そのままソファーに寝かせていた事があります。事情を聞いていなければ救急車を呼ぶところでした。意識障害の話が出ましたので簡単に書いておきます。

肝臓はご存知のように肉体の解毒機能をもった臓器です。肝臓病も進んできますと、解毒機能が低下してきます。黄疸や腹水のある方などでは、程度の差はあれ意識障害(肝性脳症)が見られることが多いようです。ひどくなると先の昏睡状態となります。その原因となる毒性物質の主なものはアンモニアと思われております。
現代医学は大変進んでまいりまして、腸内アンモニアの生成・吸収を抑制する薬も開発されております。
漢方では、肝硬変でも進行の程度に応じて処方を考えます。
一時期、小柴胡湯という漢方薬が多くの肝硬変を含む肝臓病の患者さんに使用され、「間質性肺炎」を起こし死亡するという副作用が発表され驚いた人もいたはずです。もともと小柴胡湯という処方は、急性肝炎やせいぜいが慢性肝炎でも経過初期に使用されるものです。しかも専門家なら状態により他の漢方薬と大抵は合わせて一人一人の体質に応じています。もちろん小柴胡湯だけが肝臓に適する漢方薬ということもありません。様々な処方があるのですから。
私のところには、肝硬変予備軍ともいうべき、慢性のB型、C型肝炎の患者さんが何人かおられ、まずまずうまくコントロールできていると思います。今の状態を皆さん維持できれば肝硬変には移行しないと考えています。きちんと服用し継続していく事が大切です。
ご相談はお気軽に
2002年年6月分

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肝臓病は怒りっぽい?

 しばらく肝臓の話が続いています。肝臓を漢方の話でかくと、少し難しくなりますが、少し書いておきましょう。

漢方でいう五臓六腑は現代医学でいうものと同じところもありますが、まったく概念が違うものもあります。当然漢方の肝と胆は、現代医学の肝臓、胆のうという意味もありますが、また違う概念も含まれます。肝の主な機能は「疏泄を主る」「血を蔵す」「筋を主る」と言われます。疏泄というのは、『気』の流れや働きの調節・精神情緒活動(これらは現代医学では自律神経関係と考えていいと思います)、胆汁の分泌と排泄などの意味です。

蔵血は血液の貯蔵と血流の調節。筋をつかさどるとは、肝臓が全身の筋肉、筋膜などと関係があることを言っています。もともと西洋医学には『気』の概念がありませんし、胆汁分泌、排泄以外にはあまり合致するところがありません。こういうところに漢方の考え方が西洋医学になじめないところあるのかも知れません。

たとえば、前回の処方で『小柴胡湯』が肝臓病によく使われると書きましたが、自律神経失調症、いらいら、気分がすぐれないなどの神経症状に使用したり、胃腸薬として使ったり、風邪に使ったりすると言うと不思議がるのです。もともと『小柴胡湯』という処方が書かれてある原典の『傷寒論』は簡単に言えば風邪など急性感染症の治療の理論と実践の書です。
話がずいぶん脱線しています

肝・胆は五行説でいうと、『木』に属します。木は春になると新芽を出し、そしてすくすくと伸びていくのが本来の姿です。その伸びやかさが邪魔されたりすると、たいへん窮屈になってしまいます。その状態を漢方では肝の気の鬱結、すなわち肝鬱(かんうつ)と言っています。肉体面の症状としては、わき腹部分、乳房などが張った痛みなどが出ます。胃腸症状もあります。上腹部痛、吐き気、嘔吐、ゲップ、食欲不振、胆のうでは黄疸、口が苦いなどが多い症状です。実際これらは肝臓病や、風邪をこじらせた時によく見られる症状でしょう。

さてそれが神経系で現れますと、抑うつ感・いらいら・怒りっぽいなどの情緒の異常が出てきます。(やっとタイトルと意味がつながりました)

次回も話は続きます。
ご相談はお気軽に
2002年年7月

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こむら返りと漢方

 今回も肝臓の続きです。前回は肝・胆の『気』の働きとそれが阻害された場合の症状を書きました。今回は肝のもう一つの大きな働きである『肝は血を蔵す』『肝は筋を主り、その華は爪にある』という事を書いて見ます。漢方では『肝』は血液を貯蔵し血流量を調節しているという働きがあるとされています。この機能が阻害されますと、全身の各器官の栄養が十分でなくなり、問題が出てきます。

血が目を養えないと目がかすむ。目の乾燥感や異物感、夜盲などの目の症状。

血が筋肉を養えないと筋肉の痙攣や運動が不十分(筋肉の引きつりが原因)。

血が女性系の器官に十分行き渡らないと、月経量減少、無月経。逆に血を蔵する機能低下で、月経過多、不正性器出血などを起こします。

『肝は筋を主る』というのは、全身の筋肉、筋膜の運動が肝に関係している事を言います。
先に書いたように、筋肉に十分な栄養が与えられないと、手足の引きつり(こむらがえり)、手足のしびれ、曲げ伸ばしが不自由になったりします。この場合脳の障害がないという前提です。それで慢性の肝臓病の方は肝の血が不足している場合が多いので、よく「こむらがえり」をよく起こします。これはふくらはぎにかかわらず、ちょっとしたことで様々な場所の筋肉が引きつる事が多いです。
ところで、「こむらがえり」のもう一つの大きい原因があります。身体の余分な水分の悪さ(水毒)です。朝方の冷える時間帯によく起こします。よくなって困っている人は、原因を考えて治療した方が楽ですね。

『爪は筋の余たり』と言われます。爪は筋肉の余り?というわけです。爪はカルシウムで出来ていると思われがちですが、実はたんぱく質(ケラチン)で出来ています。ですから、肝の血が十分で栄養が行き渡っている時には、ピンク色で爪の質もしっかりしていますが、不足してきますと、爪の色艶も悪くなり、質ももろくなってきて「ささくれ」やすくなりますので、肝の影響は爪に出ますと言われます。

ところで、このような事は現代医学の血液検査でわかるのか?というと、実はそういう検査はありません。肝臓の検査数値で有名なGOTやGPTというのは、肝臓の細胞が障害を受けた時に出てくる酵素を測定しています。肝臓の栄養状態の低下や前回の『気』の鬱滞を表わすものがありません。このあたりは漢方の分野です。
肝臓の気になる方は、どうぞご相談ください。

2002年年8月分

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