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婦人科の病気と漢方@ (月経不順・月経困難症・子宮内膜症) |
患者さんとお話していて、意外と婦人科系の病気に漢方が有効(と言うよりかなり得意分野)なのをご存じなく、私の方が驚く事があります。昔から「血の道」と言う言葉があり、それには漢方薬が良く効くと知られていたものです。 病気以外にも、出産後に漢方薬で体調を整えたり、お乳の出が悪い時にゴボウの種子を食べたり、煎じて飲んだりすると良く出ると、ある程度年配の方はご存じで、娘さんが出産後に当薬局を訪れたりします。 女性には、初潮以降のまだ機能的に未熟な時期、妊娠の負荷体験、閉経期の欠落体験によるホルモン異常(更年期障害)などと、「月のリズム」に影響を受けるという男性にはない特徴があります。 月経異常のタイプを大きく分けて見ると 陽証タイプ… 月経周期は早く繰り上がる傾向、経血は多い目で色も濃い。しばしば血塊を排出する。月経痛は月経前から1〜2日にかけて下腹部・腰痛等。顔色はよくのぼせぎみ。便秘がち。赤みの強いにきびや吹き出物が出やすい。肩こりが強い。 陰証タイプ… 月経周期は遅れる傾向、経血は少なく、色は薄い。月経痛は月経の期間全体に鈍痛が続く場合が多い。顔色は悪く、冷え性。月経時に便秘と下痢を繰り返す人もいる。肩こりはやはり自覚する。 簡単に分けるとこんな感じですが、実際にはまだ他に自律神経失調などもからんで、漢方では「肝気鬱結」と言いますが、これも無視できず、漢方薬の選択は必ずしも一種類とは限らなくなります。 月経不順(無月経の相談もあります)や月経痛だけでなく、肩こり・頭痛・頭重感・めまい・のぼせ・イライラ・不眠がち・冷え性・冷えのぼせなども月経異常によるホルモンバランスの異常、自律神経失調が原因となっている場合が多いものです。 また女性の病気は寒冷刺激(冷え)が悪化の因子になりやすいので、生活習慣・食生活も指導の必要がありそうです。 お気軽にご相談下さい。 1999年9月 目次に戻る 漢方相談カードへ |
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)・子宮内膜症と漢方 |
少し前になりますが、私の大好きな歌手、宇多田ヒカルさんが卵巣嚢腫という病気で腫瘍を摘出するという事がありました。その後のホルモン療法で体調を崩し、記事などでは今だに体調がすぐれないように読みました。個人的にとても残念に思います。 近年、この卵巣の腫瘍や、子宮内膜症(成人女性10人に1人が子宮内膜症と聞いています)になる女性が急増していると言われています。最近の新聞に、岡山大学医学部産婦人科工藤教授グループが子宮内膜症の患者さんの腹水に環境ホルモン(内分泌かく乱化学物質)として影響を懸念されているビスフェノールAという物質が普通より多く存在し、病気の悪化と関係していることを突き止めました。 どうして急激にこの婦人病が急増しているのか?どうやら環境問題とは無縁ではないという感じがしてまいりました。ということは、今後においてもまだまだ増えるだろうと想像されます。 子宮内膜症をインターネットで調べますと、『子宮内膜と似た組織が、卵巣、卵管、腹膜などに発生する原因不明の病気です。強い月経痛に悩んでいる患者の7〜8割は子宮内膜症の疑いがあると言われています。この毎月増殖する組織は、月経血のように体外に排出されず、体内にたまっていきます。病変が最も多く生じる卵巣では、古い血液が変性してチョコレート状になり腫れる(チョコレート嚢腫)ができることもあります。また、卵管や腹膜では周囲の臓器と癒着して不妊の原因になります。』と言う風に書いてありました。 それ以外に私の患者さんで経験した事の中には◎排尿後痛◎排便後痛◎胃痛・腹痛など婦人科系以外の場所の痛みを訴える人が割合いました。 これらは特に、月経の始まる約2週間前から(ちょうど排卵期にあたります)ひどくなってくるようで、月経期ぐらいには治まってきますが、そのときは月経痛が激しく女性を困らせています。 これらの原因は、特に痩せ型の女性は内臓下垂の人が多く、骨盤あたりに胃腸やら婦人科器官やらが非常に接近して存在するため、子宮内膜様組織が増殖した時に、胃腸や膀胱にもその周りに付着、癒着した結果、おしっこや排便した後、その周りの筋肉が引き攣れて痛むのではないかと自分なりに考えております。実際に、子宮内膜症で漢方薬を飲んでいただいている方で上記の症状が取れている人がいますので、あながちこの仮説は間違っていないように思っています。普段の注意としては、『冷え』は筋肉をちぢませ、引きつらせる性質がありますので外面的にも、内面的にも冷やさない事が痛みを少しでも和らげるコツです。 お困りの方は是非、漢方をお試しください。 2002年10月分 目次に戻る 漢方相談カードへ |
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2007年6月現在に、卵巣嚢腫(漿液性:水のようなものが溜まる)のうれしいご報告をいただきました。ご本人のメールを掲載させていただく許可をいただきましたので、書き進めたいと思います。 もちろん、個人情報などは一切カットしております。 最初のご相談はまとめると以下のような内容になります。 ご相談者様は40代前半の方でした。 過去に卵巣にかかわる複雑な経緯がありました。 ◎過去に右卵巣嚢腫で部分切除 ◎40代に入り、同じ右卵巣嚢腫と腹膜炎で手術。3度目?の手術時に右卵巣は全摘となりました。(そのまえに虫垂炎の手術もされています) こういうことがあり、3ヶ月ごとに検診をされていましたが、今年はじめに今度は左卵巣が9cmに腫れていると診断されました。 MRIなどで検査したところ、何度かの開腹手術で腸が癒着して、その空洞に「水」が溜まっているのではないかという可能性も示されました。 しかし次の検診でも、大きさは変わらず、癒着の間の「水」なのか、卵巣嚢腫かも知れないという二つの可能性がありました。 今度手術をするとなると、繰り返す手術によりさらに癒着をひどくさせてしまうこともありますし、卵巣嚢腫だともし全摘だと、左右両方の卵巣を失ってしまうかもしれないということで、ご相談がありました。 そこで漢方薬を開始しまして、その結果のご報告のメールをいただきました.
以上が、今回の卵巣嚢腫、もしくは腹腔内の水分の停滞の処理がうまい具合にいった実例です。 ここにも書きましたが、卵巣嚢腫の漿液性のものは、比較的短期間に大きくなることが多いので、注意しなければなりません。 目次に戻る 漢方相談カードへ |
![]() 健勝堂薬局からのコメントもつけました |
30代前半の既婚女性の、PMS(月経前症候群)についての報告です。 漢字、文章の言葉遣いの部分のみ変更を加えてありますが、基本的に原文ままです。 ★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆ 私は以前から生理不順がひどくて一定の周期などはなく、28日ぐらいの時もあれば、45日ぐらいの時もありました。 生理痛は、人と比べることができませんので、よく分かりませんが、痛み止めなどを使わないで我慢できる範囲でした。 しかし、生理よりもPMSが酷くて、とても辛かったのです。 腰痛、下腹部痛以外にも、頭痛、吐き気、めまい、胃痛、下痢又は便秘(その繰り返し)や、体の浮腫みや、倦怠感、イライラや情緒不安定な状態になって、誰とも話したくなくなったり、仕事もする気にはなれないし、それどころか、何かに失敗すると体も怠いし、生きていくとそのものが嫌になって、死にたいような気分がします。 その反対に、攻撃的になったり、馬車馬のように働いたり、いように食欲が湧いたりもします。 そんなに落ち込んだり、ハイテンションだったりするのですが、生理が来るとだんだんといつもの自分に戻るのです。 自分なりに月見草オイルのサプリメントなどを飲んでいたのですが、いつも購入していた月見草オイルの商品が購入できなくなって、何か別の物をを試してみようと思いました。 私は植物やハーブが好きだったので、漢方の先生に相談しました。 冷え性だったので、そのようなことも相談しました。 先生が、お薬の飲み始めは、生理の出血の感じが違うかもしれませんよ。子宮内膜症にもよいと言っていたので、血の塊みたいなものが出てくるかもしれませんとおっしゃっていました。 婦人科では、内膜症の検査をしたことが無いのですが、30前半で出産経験のない私にとって、内膜症は気になる病気ですので、内膜症の予防になればと思いました。 薬を飲み始めて最初の生理は特にいつもとかわりが無かったように思いますが、2回目の生理の時は、出血の色が茶色っぽくくすんでいて、血の塊みたいなのが出てきました。 月経周期は依然不安定なままでしたので、私の体質に合わせて処方を変えて、さらに続けました。 その後も、お薬を飲み続けて、大きな変化には気が付きませんでしたが、四ヶ月くらいたった頃、PMSの諸症状に煩わされていない、自分がいました。 思い出してみれば、三ヶ月目くらいから緩和してきた気がします。月経周期は精神的に何かあるとずれることがありますが、34日ぐらいで安定してきています。 生理周期の安定も大切なことだと思うのですが、なによりPMSが緩和されたことが何よりです。 最近は、以前より生理痛そのものも楽になってきているような気がします。 このお薬を処方してすぐの妊娠した女性がいるというお話を聞きましので、しばらくは仕事をしたいのですが、妊娠しやすい状態を作るためにも続けていこうと思いました。 2004年4月に報告いただいたものです。 ![]() 健勝堂薬局から こちらの女性は、HPを書き出した当初からの患者さんで、私のHPに寄稿したいという申し出が早くからありました。ずいぶん前に寄稿文をいただいていたのですが、載せるのが遅くなりました。 さて、服用している期間はすでに1年以上になっています。当初は書かれていますように3ヶ月くらいまではあまり変わりがないように思います。 自律神経的に不安定なところがみられており、これが生理前の期間に集中していることから、PMS(月経前症候群)と判断できます。 大きくは3度ほど処方の変更をしていますが、実は大体はベースにしている処方は同じです。ハーブや薬草にも詳しいお方でしたが、仕事上、煎じ薬は無理ということでエキス剤で通しています。 当初、『胃痛には効果が感じられみたい』と、別のメールでいただいていましたが、実は最近の数ヶ月は胃痛に関する悩みをしばらく聞いておりません。案外気づいていないのかも知れませんね。 これからも、仕事にも家庭のよき奥様としても、健康で素晴らしい女性であってほしいと願っています。 目次に戻る 漢方相談カードへ |
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